22/10/01(土)-23/03/07(火)【LIVE】KAN BAND LIVE TOUR 2022『25歳』

LIVE
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ここでは2022年10月から2023年3月にかけて開催のKAN BAND LIVE TOUR 2022『25歳』の日程情報、ライブレポエントリへのリンクなどを掲載していきます。

開催概要・日程情報

KAN オフィシャルウェブサイト BAND LIVE TOUR 2022【25歳】- www.kimuraKAN.com

KAN BAND LIVE TOUR 2022『25歳』

開催概要

・出演:
 KAN(Pf & Vo)
 清水淳(Dr)・西嶋正巳(Ba)・佐藤大剛(Gt)・菅原龍平(Cho)
 磯貝サイモン(KB) ※10/29神戸・12/10大阪公演を除く
 大坂孝之介(KB) ※10/29神戸・12/10大阪公演のみ

・チケット料金:7,800円(全席指定/税込)
・一般発売:7月23日(土)開始
・別途ドリンク代:600円(神戸公演を除く)

・仙台・広島での公演は予定なし
・サポートキーボーディストとして矢代恒彦氏に代わり磯貝サイモン氏、大坂孝之介氏を初起用

・現時点では収容座席数の100%を販売予定

・Twitterハッシュタグ:#BLT22_25s

KIR先行予約

・受付期間:2022/06/05(日)13:00~19(日)19:00

公演日程

2022年(※時刻表記は 開場/開演)

  • 10月1日(土) 横浜 @ KT Zepp Yokohama (17:30 / 18:30)
  • 10月8日(土) 大阪 @ Zepp Namba (16:00 / 17:00)
  • 10月15日(土) 福岡 @ Zepp Fukuoka (16:00 / 17:00)
  • 10月29日(土) 神戸 @ 神戸文化ホール 中ホール (16:00 16:15 / 17:00)
  • 12月2日(金) 東京 @ Zepp DiverCity (17:30 / 18:30) 延期
  • 12月3日(土) 東京 @ Zepp DiverCity (16:00 / 17:00) 延期
  • 12月9日(金) 名古屋 @ Zepp Nagoya (17:30 17:45 / 18:30)
  • 12月10日(土) 大阪 @ Zepp Osaka Bayside (16:00 16:15 / 17:00)
  • 12月16日(金) 札幌 @ Zepp Sapporo (17:30 / 18:30)

2023年(※時刻表記は 開場/開演)

  • 1月10日(火) 東京 @ Zepp DiverCity (17:30 / 18:30) 12月2日(金)の振替
  • 3月7日(火) 東京 @ Zepp DiverCity (17:30 / 18:30) 12月3日(土)の振替

オフィシャルTwitterにてフライング半解禁

5月28日、STVラジオ『KANのロックボンソワ』にて、「6月1日に僕の新たな楽しい発表がある」と匂わせ発言があり、Twitter上ではいよいよアレが決まったのか!と騒然となりました。そう、KANさんが「楽しい発表」というときは、単発イベントライブではなく自分のライブツアーであることが暗黙的に確定しています。

そして、5月31日、KANさんのオフィシャルTwitterにてKANさん自身から情報がフライングで半解禁されました。

実に3年ぶりの開催に、これもTwitter界隈は歓喜乱舞(イメージ)となりました。同時に、KANさんからはツアータイトルのクイズも出題。『弾き語りばったり』シリーズはオフィシャルサイト会員からの公募でツアータイトルが決まりますが、今後のバンドライブツアーはこのような前日フライング情報半解禁&ツアータイトルクイズのスタイルが定番になるかも知れませんね。

ツアータイトル、開催日程正式発表

6月1日正午、ついにツアータイトル『25歳』(および前項のクイズのNGワード『還暦』)、開催概要、開催日程が正式発表されました。アルバム『23歳』リリースから2年経過しているため『25歳』というシンプルかつ納得度の高いネーミング、さすがです。

今回のポイントは上記に記載した通りで、矢代恒彦氏に代わってサポートキーボーディストとして起用される磯貝サイモン氏、大坂孝之介氏が、それぞれの個性豊かな表現・特色を活かしつつ、KANさんのこだわりディレクション(音造り面でのディレクションと、演出面でのディレクション両方の意味)によりどう反応してどのように昇華するのか、大変興味深く楽しみです。磯貝サイモン氏は、かつて2014年に開催された『別冊・おとといミーティング ~ピアノ de ピンポン~』以来の共演となります。

現時点で、金曜日・土曜日のいずれかの開催ということで、選択の幅は狭いかもしれませんが、追加公演が間違いなくどこかで発表されると思います。また、11月には一切日程が入っていないのも気になります。今後の動向にも注意しておきましょう。

KANLENDAR(Googleカレンダー)日程情報追加

当サイトが提供するKANさん関連の日程情報を詰め込んだ「KANLENDAR」(Googleカレンダー)に、公演日程情報を追加しました。「KANLENDAR」は、Googleカレンダーをご利用の方ならば、ご自身のカレンダーに追加することも可能です。

フライヤー公開

7月30日、KANオフィシャルウェブサイトにて当ツアーのフライヤーが公開されました。

KAN オフィシャルウェブサイト BAND LIVE TOUR 2022【25歳】フライヤー - www.kimuraKAN.com

前回のバンドライブツアー「BAND LIVE TOUR 2019【クイズ・新曲は誰だ!?】」の出演時の画像を中心に、一見カッコよさそうに、しかし、よく目を凝らして細かく見ると面白可笑しく構成されています。前にも当サイトでエントリーにしましたが、こうやってフライヤー画像を公開していただけることは実にありがたいですね。

KIR特製チケット発送開始

初日横浜公演まであと2週間に迫った9月17日、KIR(北青山イメージ再開発)特製チケットが各地に届き始めています。私の手元にも届きました。チケットデザインなどはネタバレになりますので現時点では控えますが、これから届く予定の皆様は、ぜひお楽しみに。

ライブ会場限定「ケジメの振袖」

9月11日のFM COCOLO『Got You OSAKA』ゲスト出演時に初めてKANさんが言及した話で、60歳の記念に「ケジメの振袖」を着用し、街の写真館で写真撮影する、という件があるのですが、これを観られるのは『25歳』ツアーのライブ会場に限られることがTwitterにて明らかになりました。題して「ふりそでーしょん」とのことです(もちろん、きゃりーぱみゅぱみゅ『ふりそでーしょん』から拝借したタイトル)。

コロナ禍が完全に終焉していない状況なので、”Faceboard(顔はめパネル)”の形ではないにしても、等身大パネルや大型ポスターなどの形になるのではないでしょうか。真相は10月1日、ツアー初日に明らかになる予定です。

【10/26追記】
10月1日、ついに、真相は明らかになりましたが、等身大パネルのような誰でも残して見れる形ではなく、文字通り「ライヴ会場でのみ」見られるものでした。後日ライブレポにて記述したいと思います。

グッズ販売開始時刻変更

10月6日、KANさんのオフィシャルTwitterにて、グッズ販売開始時間の変更についてアナウンスがありました。10月1日・横浜公演(初日)で初めてグッズ販売の場に実本が姿を現したKANさんの詞集『きむらの和歌詞』。この書籍が現時点で唯一に近いこのツアーのオフィシャルグッズであり、かつ、これまでのKANさんの歌詞を自身が解説・コメントする集大成、ということもあり、想像を超える行列となりました。終演後も列が全てなくなることはなく、まだ並んでいる方がいる段階で売り切れ販売終了となるほどでした。

10月1日初日は、開場時刻=グッズ販売開始時刻だったのですが、上記を受けて、10月8日の大阪公演から、各開場時刻の1時間前をグッズ販売開始時刻することになったものです。

横浜では惜しくも買えずに帰らざるを得なかった方が多数いらっしゃったので、これで、今後は少しでも余裕を持って開演前に購入できる方が増えることを願います。

神戸公演の開場時刻変更

10月24日、KANさんのオフィシャルTwitterにて、神戸公演のリハーサル時間が延長する都合により、開場時刻が15分遅れることが事前予告されました。神戸公演は、キーボードを大坂孝之介さんが担当する初めての公演ということもあるのかもしれません。(グッズ販売開始時刻と開演時刻は変わらずです)

東京2公演延期

11月28日、KANさんのオフィシャルTwitterおよび公式サイトにて、KANさんご自身の新型コロナウィルス感染が確認されたこと、及び、東京2公演の延期が発表されました(延期先日程は調整中)。

熱は既に下がっておられるとのことで、ひとまず安心していますが、11月28日現在で待機期間真っ最中です。このまま何事もなく無事に復帰されることを願っています。

新型コロナウィルスの流行が始まってからというもの、KANさん自身、多数の公演を抱えながらプロモーションやイベントライブも含めて、日本全国各地で不特定多数の人々と接触する機会が多かったはずです。そんな中で、日頃より感染対策や風邪対策などに気を遣って入念に対応されている部類であろうKANさんでも罹ってしまうのですから、もはや感染予防の限界もあるのかもしれません。

ゆっくりと休んでいただき、延期先のリベンジ公演では何倍も盛り上がりましょう!

東京2公演の振替公演発表

12月7日、KANさんのオフィシャルTwitterおよび公式サイトにて、延期となっていた東京公演の振替先について発表されました。12月2日東京公演が2023年1月10日に、12月3日東京公演が2023年3月7日にそれぞれ振替されます。2023年1月10日公演については12月10日10時からチケット一般発売予定、2023年3月7日公演については12月7日現在一般発売未定で、今後キャンセル数が明確になってから発表されるそうです。

12/9名古屋公演、12/10大阪公演の開場時刻変更

12月7日、KANさんのオフィシャルTwitterおよび公式サイトにて、12/9名古屋公演、12/10大阪公演の開場時刻変更についてアナウンスがありました。ともに、リハーサル時間を延長することによるもので、当初の開場時刻が15分遅くなります。グッズ販売開始時刻および開演時刻には変更ありません。

12/16札幌公演は任意払い戻し対象に

12月17日、KANさんのオフィシャルTwitterおよびSTVラジオ『KANのロックボンソワ』番組サイトにて、12月16日の札幌公演について、喉の不調により任意での払い戻し対象となることが発表されました。詳細は後日KANさんのオフィシャルサイトにて告知されるそうです。

【12/24追記】
12月24日、KANさんのオフィシャルサイトにて払い戻しについての案内がされました。

新型コロナウィルス感染の影響かどうかは明らかになっていませんが、12/9名古屋公演、12/10大阪公演と、徐々に喉の調子が悪くなっていることは各公演に参加したファンの間でも話題になっており、心配されていた矢先のことでした(私も12/10大阪公演に参加し、大変心配になりましたが、随所でそういう場合の言い訳もせず、プロ意識が垣間見れた瞬間でもありました)。次回は年明け東京公演ですので、少し間が開きます。ゆっくりと休んでいただき、万全の態勢で臨まれることを切に願います。

3/7東京振替公演のチケット一般発売日発表

2月24日、KANさんのオフィシャルTwitterおよび公式サイトにて、延期振替公演である3/7東京公演について、当初12/3公演のキャンセル分チケットの一般再発売日が2月25日となったことが発表されました。

関連記事

関連記事が掲載され次第、随時追加していきます。

演奏曲目等

※会場によって微妙に異なる場合がありますのでご了承ください。
※個人的に書き殴ったメモからのリカバリなので抜け・誤りがあると思いますのでご了承ください。

私が参加したのは「10月1日(土) 横浜公演」「12月10日(土) 大阪公演」「1月10日(火) 東京公演」ですので、それ以外の公演固有の内容については割愛しています。

曲順曲名収録アルバム
1Sunshine of my heart9th Album『東雲』(1994) Tr.01
2胸の谷間16th Album『6×9=53』(2016) Tr.02
3まゆみ7th Album『TOKYOMAN』(1993) Tr.02
4ときどき雲と話をしよう6th Album『ゆっくり風呂につかりたい』(1991) Tr.04
5遥かなるまわり道の向こうで14th Album『遥かなるまわり道の向こうで』(2006) Tr.07
6東京ライフ4th Album『HAPPY TITLE -幸福選手權-』(1989) Tr.10
7星空がcrying8th Album『弱い男の固い意志』(1993) Tr.03
8青春の風15th Album『カンチガイもハナハダしい私の人生 』(2010) Tr.05
9愛は勝つ5th Album『野球選手が夢だった。』(1990) Tr.01
10MAN10th Album『MAN』(1996) Tr.03
11もしもし木村です2nd Album『NO-NO-YESMAN』(1987) Tr.01『今夜はかえさないよ』
12カラス13th Album『Gleam & Squeeze』(2001) Tr.03
13ふたり17th Album『23歳』(2020) Tr.03
14ほっぺたにオリオン17th Album『23歳』(2020) Tr.08
1523歳17th Album『23歳』(2020) Tr.02
16テレビの中に1st Album『テレビの中に』(1987) Tr.03
17WHITE LINE ~指定場所一時不停止~12th Album『KREMLINMAN』(1999) Tr.06
18君のマスクをはずしたい17th Album『23歳』(2020) Tr.04
19Oxanne ~愛しのオクサーヌ~11th Album『TIGERSONGWRITER』(1998) Tr.05
20キセキ → カサナルキセキ17th Album『23歳』(2020) Tr.05『キセキ』
21適齢期LOVE STORY with 全曲つなげ3rd Album『GIRL TO LOVE』(1988) Tr.01
22エキストラ17th Album『23歳』(2020) Tr.10

今回のKANさんの選曲コンセプトは、とても驚くべきものでした。これまでのすべてのオリジナルアルバムから1曲ずつ選び、かつ、最新作『23歳』からは、まだライブで演奏されていない曲が残らないように網羅するという目標を達成したと言っています。

実際、アルバム発売順に並べると、以下のようになります。

曲順曲名収録アルバム
16テレビの中に1st Album『テレビの中に』(1987) Tr.03
11もしもし木村です2nd Album『NO-NO-YESMAN』(1987) Tr.01『今夜はかえさないよ』
21適齢期LOVE STORY with 全曲つなげ3rd Album『GIRL TO LOVE』(1988) Tr.01
6東京ライフ4th Album『HAPPY TITLE -幸福選手權-』(1989) Tr.10
9愛は勝つ5th Album『野球選手が夢だった。』(1990) Tr.01
4ときどき雲と話をしよう6th Album『ゆっくり風呂につかりたい』(1991) Tr.04
3まゆみ7th Album『TOKYOMAN』(1993) Tr.02
7星空がcrying8th Album『弱い男の固い意志』(1993) Tr.03
1Sunshine of my heart9th Album『東雲』(1994) Tr.01
10MAN10th Album『MAN』(1996) Tr.03
19Oxanne ~愛しのオクサーヌ~11th Album『TIGERSONGWRITER』(1998) Tr.05
17WHITE LINE ~指定場所一時不停止~12th Album『KREMLINMAN』(1999) Tr.06
12カラス13th Album『Gleam & Squeeze』(2001) Tr.03
5遥かなるまわり道の向こうで14th Album『遥かなるまわり道の向こうで』(2006) Tr.07
8青春の風15th Album『カンチガイもハナハダしい私の人生 』(2010) Tr.05
2胸の谷間16th Album『6×9=53』(2016) Tr.02
1523歳17th Album『23歳』(2020) Tr.02
13ふたり17th Album『23歳』(2020) Tr.03
18君のマスクをはずしたい17th Album『23歳』(2020) Tr.04
20キセキ → カサナルキセキ17th Album『23歳』(2020) Tr.05『キセキ』
14ほっぺたにオリオン17th Album『23歳』(2020) Tr.08
22エキストラ17th Album『23歳』(2020) Tr.10

KANさんの、自身の作品に対する真摯な姿勢と、その才能を証明するものだとも言えます。この計らいには、多くのKANさんファンが感心し、音楽的な哲学とも言えるこの選曲を有難く思っています。

ちなみに、中田ヤスタカ系の楽曲『メモトキレナガール』は、当初からライブ演奏が不可能と宣言されているため、それだけは除かれていることも注目に値します。(もちろん、今後「REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜」「ブログ!ブログ!ブログ!」「メモトキレナガール」の中田ヤスタカ系3曲ノンストップ演奏が実現される日も待ち遠しいです。

◇◇◇◇◇

会場に足を踏み入れると、耳に飛び込んでくるのは、Perfume。終始客入れBGMとして流れ続けていました。しかし、会場内は、ある意味、それが普通かのように受け入れていました。とはいえ、まさかKANさんのライブに来たのにPerfumeの名曲たちに身を委ねて、期待感膨らませていくってどういうこと?という方も居たかと思いますが笑。

今思うと、客入れBGMにPerfumeって、結構溶け込んでていいなあ、と。コンピューター的なサウンドの揺らし方の方が、主張しすぎない感じで、自動的に空間が未来的に染まっていくし。そして、なにより、KANさんが愛でまくる中田ヤスタカ氏の音楽で満ちていることが、もうすでにKANさんのアイデンティティを示しているわけですから。

そして、客入れBGMは大詰め、いよいよライブが始まりに近づきます。Perfume『Spinning World』が流れる中、バスドラのキックが呼応して入り始め、暗転し始め、客席は「よし来た!」とばかりに手拍子が沸き始め、一体となって盛り上がっていきます。

1Sunshine of my heart9th Album『東雲』(1994) Tr.01

キックの導入が終わったとともにスタートしたのがこの曲。幕が落ち、冒頭のフレーズを歌いながら登場したのはキラッキラのスーツに身を包み、スティービーワンダーのように揺れるKANさん。あぁ、この感覚。コロナ禍で忘れてしまいそうになるけど、KANさんのバンドライブツアーは、この出オチも醍醐味なのです。楽しそうだ、本当に楽しそうに歌っているよKANさん。やっと私たちの前にバンドライブツアーが戻ってきたんだなぁ、と感慨深い気持ちになりながらも、いやいやぼ~っとしてられないよ、いろんな仕掛けを見逃すな聞き逃すなイオンスタイル南砂みなみすな

矢代恒彦さんが亡くなって、キーボーディストが新たに参加する今回のライブでは、まず最初の聴き所が、キーボードプレイとその音色の変化だったりします。

どの曲も、おそらく譜面はKANさんから与えられたものがベースになっていて、音色や表現方法については、演奏者自身の裁量に任されている部分もあったのかな、と想像しています。なので、今回初めて参加された磯貝サイモンさん、大坂孝之介さんの違いがみられるとすると、音色と細かい手癖だったと思います。特に、「Sunshine of my heart」のようなブラス中心にパキパキしたフレーズが見せ所の楽曲では、その差が顕著に見えるんじゃないか、と期待していました。

しかし、蓋を開けてみると、音色も結構お二人とも想像していたよりも差がなかったような気がします。お使いの機器は異なっていたのですが、音色についてのKANさんからのディレクションがかなり細かく設定されていたのかな。どんな指示が下されていたのか、とても気になります。

そして、間奏のキーボードソロは、やはり、奏者の自由が許されているパートだったので、それぞれ固有のプレイが観られて楽しかったです!

2胸の谷間16th Album『6×9=53』(2016) Tr.02

お、もうこのタイミングでロックな楽曲を放り込んでくるのですね、新鮮!!まずはその印象でした。終盤のロックゾーンで演奏される場合は原曲よりもアップテンポで演奏される楽曲なのですが、今回のツアーでは序盤での登場だったためか、原曲通りのテンポで演奏されている印象で、逆に独自の重さを放っていました。いやいやこの曲に重さが必要なのか、というツッコミがありそうですが、歌詞がどんな内容であれ、ロックは重さが重要です(適当に良いことを言ったフリ)。

1月10日東京公演は、DVD撮影が入っていたのですが、終盤で歌詞飛ばした部分を編集するのかそのまま行くのか、ちょっと気になるところではあります。

曲の最後で手を前方に延ばしながら瞼を裏返して謎の強制二重瞼を披露するのは今回も健在でした笑。

3まゆみ7th Album『TOKYOMAN』(1993) Tr.02

ライブバージョンではいわゆる大サビ後の”Magical Mystery Tour”部分を最初に持ってきて演奏されることが多かったのですが、今回は原曲通り、ピアノ弾き語りからのスタートでした。大サビ後の終盤、原曲にはあるブラスシンセの音を入れていなかったのが新鮮でした。最初は初日だけ何らかの事情で鳴らなかったのかな、と思っていたのですが、その後の大坂さんも、2度目に見た磯貝さんも同じ演奏だったので、ここはKANさんの譜面がそうなっていたのだと認識しました。

こういう楽曲をスクリーンで歌詞を改めて眺めていると、全部の行が繊細な表現で、ズンズンと刺さって来ます。彼女の純真さや清らかさを表す言葉の選び方、歌詞だけで見える彼女との距離感。最後はあきらめた儚い恋。

4ときどき雲と話をしよう6th Album『ゆっくり風呂につかりたい』(1991) Tr.04

この曲はBAND LIVE TOURで演奏されるのは相当久しぶりではないでしょうか。調べてみたら、BAND LIVE TOUR 2009「じゃぁ、スイスの首都は?」以来13~14年ぶり。イベントライブも含めると、2014年以来ですので、少なくとも8年近く生バンドで聴いていなかったということになります。

原曲と異なり、佐藤さんのアコースティックギターが掻き鳴らされる中でのハモリながらのスタート。アコギが中心になったバランスだったことで、空を見上げて雲を見ている感覚が伝わります。

かつて、間奏以降にライブならではの別歌詞がアドオンされることがあったこの曲ですが、今回もそのアドオンはなし。ちなみに、その歌詞を参考までに書いておくと、以下です。

声にならない痛みも 越えられないさみしさも
かかえてたのは君だった どこかで気づいてた

結局ぼくは いつも何かにおわれて
君を守る大きな空にはなれなかった

いつかまた、この歌詞のバージョンも聴いてみたいです。

5遥かなるまわり道の向こうで14th Album『遥かなるまわり道の向こうで』(2006) Tr.07

まだまだオープニングからノンストップで演奏は続きます。原曲はドラムから入ってすぐに歌、というところですが、ライブバージョンは前奏にビリージョエルの『If I only had the words』をコラージュされています。まさにこの楽曲に影響されて作った楽曲がこの『遥かなるまわり道の向こうで』だからなのです。

イントロ以外はほぼほぼ原曲通りに演奏されていますが、2コーラス目の「それこそに耐え」で登場するリフレインコーラスがなかったくらいが違いですかね。てっきり菅原さんが追いかけるのかなと思っていたのですが、意外でした。

この曲は、KANさんの歌詞の中でもまさに”遥かなるまわり道”に間接的な言葉や表現を使って情景や感情を表しているのですが、スクリーンの歌詞を読みながら聴くことでもその重みをリアルタイムに感じることができました。

6東京ライフ4th Album『HAPPY TITLE -幸福選手權-』(1989) Tr.10

ここで、ほとんどのメンバーが袖に退きます。KANさんが奏でるイントロと共に、スクリーンに”よかったら座ってください”という旨の指示あり、お客さんは着席します。バンドライブツアーのセットリストとして、アンコールのラスト以外のタイミングで単独ピアノ弾き語り曲が演奏されるのは10年単位で久しぶりかもしれません。20年くらいやっていないかも。

1990年代のライブツアーでは、途中で温度を下げる・・・というわけではなくて、温度のムラを整えるというか、次の転換に着地しやすくするという方が表現が近いかもしれませんが、そんな位置にピアノ弾き語りを挟むことがあったのです。が、2000年代以降はその役割をAcousticコーナーに委ねていたこともあり、単独ピアノ弾き語りをこのタイミングで聴けることに、大変懐かしい気持ちになりました。

スクリーンにイントロ開始と共に表示されたテロップは、どうやら、その時の会場の様子を見ながらスタッフさん側で出す出さないを決めている模様です。どういうことかというと、この曲の前の2曲『とき雲』『遥かなる〜』は比較的おとなしめです。私が参加していない公演で、既にこの2曲を終えた時点で大多数が着席しているパターンがあったらしく、そのときは、周囲の様子をこのテロップは出なかったそうです。ということで、それを知って以降は、このテロップネタを見たい場合を座らずに経ち続けましょう。

7星空がcrying8th Album『弱い男の固い意志』(1993) Tr.03

『星空がcrying』は、最近亡くなったバート・バカラックの『Close To You』(私にとってはやはりカーペンターズのカバー版の方が馴染み深い)に影響された、と最近のロックボンソワでKANさんが言っていましたが、Gilbert O’Sullivanの『Clair』のBメロが酷似・・・ああ、確かに。

失恋した男性が横浜の街をさまよう、というシチュエーションにはピッタリハマる曲調。そして、そんなシチュエーションに相応しい姿勢といえば、そう。KANさんはピアノの上に腰掛けて歌い始めました。一瞬、このままだとピアノの上に寝転んで歌うんじゃないかとも思いましたが笑。

「涙がでない ぼくのかわりに星空がcrying」なんて、スクリーンで読むと泣きそうな感情を抑え込む喩えとして、強烈に伝わりますね。発売当時にちゃんと歌詞を深く読んでなかった自分を恨みます。そこに、「外人墓地 またひとりぼっち」などの気持ちを和らげる韻踏みフレーズとのギャップがまたよいですね。

Bメロや転調して戻ってくる間奏など、改めてコード進行と一つ一つのコードの選び方が秀逸で、さらに、佐藤さんの哀愁漂うギターと磯貝さん・大坂さんのエレピも加わり、切なさを浮きだたせていました。

8青春の風15th Album『カンチガイもハナハダしい私の人生 』(2010) Tr.05

この曲は意外なことに、原曲(F)よりもキーを半音下げて(E)で演奏されていました。ボーカルの音域的にはそんなに最高音が高くないので、別の理由があるのだと思うのですけど、わからなかったです。

KANさんが間奏でギターソロを弾く際、スクリーンには、この曲だけKANさんのギターに弦が張られていて実際に音を出して弾いていることを表示するのですが、ギターソロを簡単にするため?確かにキーが”F”だと、カポなしだと”F”押さえるのがしんどいのも事実ではありますが(いや、でもそれはカポ使えばなんとでもできますよね・・・)。

細かいこと言うとカポつけるとギターの張力が替わって音色が微妙に変わるから、とかいろいろありますが、シンプルに、前後の楽曲とのバランスを取って落ち着かせるために半音下げている、ということもあり得ますね。

さて、この曲は初々しい感じでKANさんが拙いギターソロを弾くのが見せ場(?)なのですが、初めて演奏した2010年の芸能生活23周年記念逆特別『ルックスだけでひっぱって』ツアーの時は、公演を重ねるごとに上手くなっていく、というミラクルがありましたよね。あの時は「曲が終わるとギターソロの点数が後ろに出るようになってます」と振り返ると、ステージ中央には既に「23」という大きな文字がセットとして浮かんでいて・・・というスットボケギャグがありました。現在は35周年だから「35」点かというと決してそんなことはなく、その倍くらいの点数にはなっているのではないでしょうか。

会場にはさわやかに良い風が通りました。(たぶんコロナ対策のための換気のせいではない)

9愛は勝つ5th Album『野球選手が夢だった。』(1990) Tr.01

野球で言えばまだ4回裏くらいのイニングでの『愛は勝つ』。KANさんのバンドライブツアーへの参加歴が長い方ならば、この時点で <あ、今回はなにやら普段と違うものが観れそうだな(ニヤリ)> と期待が膨らんできます。なぜなら、バンドライブツアーでは、『愛は勝つ』はだいたい7回表くらいのロック畳み掛けゾーン直前(曲数で言うと15~19曲目くらい)での演奏が多いからです。

確かに、過去には、前半はカッコよく演奏し切ってしまいたい!というコンセプトがあって、同じように前半にMC少な目で畳み込んで演奏した2012年『ある意味・逆に・ある反面』ツアーでは7曲目、2016年『ロック☆ご自由に♪』ツアーでは今回と同じ9曲目、というパターンもありましたが、どちらかというと珍しい方です。「KANさんだからこそ絶対演奏されるべき枠」を先に終わらせておくことで、後半に”沼の深いところ”を突いてくる展開を、期待してしまうわけです。

この曲は、菅原さんが加入した当時から、彼の直立不動第九歌唱スタイルから目が離せない(直立不動なので目は離せるはずなのですが)のがお決まりで、今回も健在でした(そういえば、菅原さん加入初期は、自分の歌うパート以外は息を止めてたんでしたっけ?)。

もちろん、間奏やエンディングの第九フレーズ

BenzベンツAudiアウディ, Volkswagenフォルクスワーゲン, Berlinベルリン, Munichミュンヘン, Heinekenハイネケン, Frankensteinフランケンシュタイン, Scheveningenスケベニンゲン, Love is all, Love is all.

も、当然のように炸裂していました。

10MAN10th Album『MAN』(1996) Tr.03

この楽曲はバンドライブでは実に久しぶりの選曲でした。弾き語りライブでは「弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば」で「Laura(Billy Joel)」を目指した曲として演奏されていますが、バンド編成では一番最近でも「ap bank fes ’07」の時に桜井和寿さんとの伝説のハモリが爆誕した回(しかし、残念ながら映像作品には残らなかったので私は見たことがない)。さらにその前はいつかというと、まさにアルバム『MAN』が発売された1996年、KAN CONCERT TOUR ’96「LA TOUR DOMESTICA DEL’ESTATE DAL DICIOTTO MAGGIO AL TREDICI LUGIO」まで遡ります。しかも、このライブは私、行けていません。

つまり、バンド編成で演奏されたのが今回3回目にして、個人的には初めての【生バンド編成での”MAN”】でした。個人的にはめっちゃ好きな曲なのに(知らんがな)。念願が叶って嬉しい限りです。歌詞が重く沁みわたる楽曲。嬉しかったのは、原曲キーで演奏されたこと。その他、ほぼほぼ原曲に忠実なアレンジでありながら、2コーラス目のあとの間奏で、原曲はストリングスで演奏されているフレーズを、佐藤さんのギターソロで演奏されていたのがまた、哀愁漂う様子を浮かびあがらせているようで、良かったです。

◇◇◇◇◇

というわけで、開演からここまでノンストップで10曲連続でぶち抜き演奏されました。これは、KANさんのバンドライブツアー史上最多連続演奏曲数ということで、コロナ禍の悶々とした日々を一気に吹き飛ばす時間になりました。ご本人もMCで、”すっかり弾き語り系アーティストになっていましたが、うれしくて10曲一気に演奏しちゃいました”、”弾き語りツアーではしゃべり過ぎた反省もあり、バンドライブではしゃべらない方がカッコいい!という考えでここまできたけど、(もう反省タイムは終わったので)ここからものすごくしゃべります”、などとおっしゃってました。

選曲内容も、この10曲だけでも、常連の曲・久しぶりに演奏される曲含め、新旧バランスよく織り交ぜられていました。これまで悶々と濁っていた心と身体を、超絶久しぶりにシャワーを浴びて綺麗サッパリとリフレッシュさせてもらったような、そんな気分。「そう、そうだ、これがKAN BAND LIVE TOURの波動・振動・感動だ!」。ブランクを埋めるような感覚で、脳内で眠っていた筋肉を叩き起こしてもらった時間は、あっという間に流れていったのでした。

◇◇◇◇◇

ここで、次に演奏する曲の説明。『今夜はかえさないよ』のもともとの曲名は『もしもし木村です』。1987年当時、すでに留守電機能の付いた電話が発売されている中、KANさんは留守番電話単独の製品を誰かにもらって、それを使っていました。相手のメッセージを録音するテープと、自動応答メッセージを再生するテープが別々のデッキになっている、というシロモノで、高千穂通信機器製作所の「AT-P410」という製品でした。

KANさんの記憶を頼りに自身で絵を描いたものがスクリーンに投影されました。高千穂+製品名で検索すると実物の写真も見られますが、かなりの再現度でした。この自動応答メッセージとして、MTR(マルチトラックレコーディング)もビックリの大作を制作し、電話を掛けてきた人に聴かせていたとのことで、これが徐々に好評を博し(KANさんが在宅で留守電になる前に電話を取った場合でも、わざわざ電話を切ってもう一度掛けてきて留守電を聴かせてほしい、という人もいるくらい)、歌詞を書き直してアルバムに収録した、という経緯です。

今回のライブでは、完成系として発表した『今夜はかえさないよ』ではなく、この原曲『もしもし木村です』を演奏。

また、かつて『アタックヤング』や、2011年には『KANと要のWabi-Sabiナイト』、2021年には『KANのロックボンソワ』でもオンエアされており、例えば以下の放送回でも聴くことができます。

第849回『34年前のカセットテープ発掘! 伝説の「もしもし木村です」OA!』 | 選曲リスト | KANのロックボンソワ | STVラジオ
第849回『34年前のカセットテープ発掘! 伝説の「もしもし木村です」OA!』

11もしもし木村です2nd Album『NO-NO-YESMAN』(1987) Tr.01『今夜はかえさないよ』

『今夜はかえさないよ』をライブツアーで演奏していた当時は振り付けもあって、その振り付けも含めて再現されるし、当時の振り付けを覚えているファンの皆さんは一緒に手振りしているのにも関わらず、歌詞が『もしもし木村です』という、なかなかシュールな状況です。

スクリーンに表示される歌詞を読みながら聴くと、改めて、この歌詞は言うべきことをちゃんと言っています。

1コーラス目ではせっかく掛けてくれたけどそんなあなたのために作った歌をちゃんと歌うから聴いてくれ、2コーラス目ではいわゆる留守番電話には必ず必要な手続きとして名前・用件を発信音の後でメッセージとして残してくれたらあとで折り返し電話する旨の(最も大切な)説明。そして大サビからラストに掛けてはそろそろ頭に来てるはずだけど忙しいのはこっちも同じでお互い様だ、という煽りと、最後まで延々とくりかえされる「もしもし木村です」、そして「それではまた今度」とお別れの挨拶で。

そんななかでも、原曲(もはやどっちが原曲なんだろうか)と不変の位置に鎮座している「ちゃんとちゃんとちゃんと~から」のフレーズ。何度考えてもこの「ちゃんと歌うから」っていう歌詞・・・これ最高ですね。

(つづく)

履歴

  1. 公式Twitterにて開催決定をフライング発表(22/05/31)
  2. ツアータイトル、開催日程正式発表(22/06/01)
  3. KANLENDARに公演日程登録(22/06/01)
  4. 公式サイトにてフライヤー公開(22/07/30)
  5. KIR特製チケット発送開始(22/09/17)
  6. ライブ会場限定「ケジメの振袖」(22/09/23)
  7. グッズ販売開始時刻変更(22/10/06)
  8. 神戸公演の開場時刻変更(22/10/24)
  9. 東京2公演延期(22/11/28)
  10. 東京2公演の振替公演発表(22/12/07)
  11. 12/9名古屋公演、12/10大阪公演の開場時刻変更(22/12/08)
  12. 12/16札幌公演が任意払い戻し対象に(22/12/17)
  13. 3/7東京振替公演のチケット一般発売日発表(22/02/24)

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