KANさんの楽曲『エキストラ』に関する感想や情報を記しているエントリです。
収録先
- 17th Album『23歳』(20/11/25発売)
初オンエア
- 20/10/31(土)【AM】STVラジオ『KANのロックボンソワ』(24:52)
ファーストインプレッション
リリース前から「名曲」の呼び声
この楽曲は、2019年のBAND LIVE TOUR『クイズ・新曲は誰だ!?』でアンコール最後の曲、かつ、当時未発表の楽曲として、ピアノ弾き語りで演奏されました。
そして、その瞬間から「名曲」の呼び声が高く、これまでにないほど音源化が待望されていた楽曲です。
数少ない「女性視点」
KANさんは近年の作品では自身の経験に基づいた歌詞が多く、すなわち、それは男性の視点となります。
この「エキストラ」は、女性の視点で切なく叶わぬ想いを表現している、KANさんの作品の中では非常にレアな歌詞で、聴き手の現在過去未来を問わず、歌詞世界を各自の記憶の引き出しからイメージ・展開・共感しやすい作品だと感じました。
Aメロでは個別具体的にエキストラの風景を描くことで、そんなにエキストラ経験がない聴き手でもスッと入り込め、Bメロではそのエキストラの心情を短いけれど的確に圧縮した言葉で描くことで一気に引き寄せます。
そしてサビはシンプルに「大好きです、好きです」という言葉と、エキストラならではの儚い側面を悟ることで、叶わぬ想いを自覚する。
聴き手によっては、決して映画やドラマの世界に限った話ではなく、自身の経験や伝聞に照らし合わせて置き換え、さらに切ない想いが深く沁みいった、という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな歌詞が、繊細なメロディラインと少し嗄れたKANさんの声にしたためられ、優しいピアノの調べに乗ってくるのですから、界隈に衝撃を与えないわけがありません。
弦を匂わせていた間奏
2019年のライブツアーで初演奏となった時はピアノ弾き語り形式でしたが、その時から、アルバムに収録されるときには生ストリングスなども含めた完成形のアレンジが頭の中にあり、それを先行してピアノ弾き語りで演奏されたのではないかな、と思っていました。
間奏のピアノでコード中心に叩くあたりのテンションは、KANさんの脳裏では他の楽器が一緒に鳴っているような演奏だったもので、そう感じたのです。
初めてロックボンソワのオンエア音源を聴いたとき、1コーラス目の途中で、KANさんの歌いまわしや拍子への音の当て方がピアノ弾き語り一発録りではない(ピアノとボーカルは別録り)こと、そして、上記の予感(ピアノとボーカル以外にトラックがあること)がたぶん当たっていることを悟り、鳥肌が立ちました。
そして、まさにその間奏部分。エキストラの情景を奥行き深くするストリングスアレンジが施されていました。歌詞にある通り、雪がちらつき空気が白みがかった透明感のあるフレーズが印象的です。さすがすごいなと思ったのは、生ストリングスが演奏に加わるのは、この間奏部分のみだ、ということです。
KANさん自身がロックボンソワで初オンエアするときも頻りに「切ないです」を連発していた作品。リリース前からもすでに名曲ですが、リリース後も、明日この映画が打ち切りになっても、名曲であり続けると思います。
リリックスビデオ公開
11月11日(水)正午ごろ、YouTubeに『エキストラ』のリリックスビデオがサドゥンリィに公開され、KANさんファン界隈では大騒ぎになりました。
タイトルこそ「Lyrics Video」と書いてはありますが、この動画はピアノの上方から真下を見下ろす形での固定カメラによるKANさんによるピアノ演奏を撮影したものであり、実質の「ピアノ弾き語りお手本動画」となっています。
これは、ピアノ弾き語りクラスタにとっては、大変、大変嬉しいプレゼントでした。本当にありがとうございます!これまで記憶と経験を頼りに耳コピしていたので、ようやく答え合わせができます。
個人的にいきなり、そして最も驚いたのが、イントロの二拍目と四拍目の「E」の音、ずっとずっと左手で押さえているものだとばかり思っていたのに、動画を見たら右手親指で押さえている!という点でした。
そんな感じで、日々動画通りに弾くとどうなるかを確かめながらの答え合わせ三昧でしばらく楽しめそうです。
ぜひ、この動画は、KANさんの音楽に初めて触れる方に、特に、誰かしら”推し”ている人がいる方に、じっくり歌詞を見ながら聴いていただきたいです。そして、必ず、動画は最後まで油断せずに見尽くしていただきたいと思います。
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