このエントリは、2011年9月29日から10月6日まで開催の『別冊・おとといミーティング ~カブレルズ登場!~』のうち、10月2日の東京公演(at サンパール荒川)についての感想エントリです。
はじめに
10月2日、サンパール荒川で行われた、KANさん率いるデリケートフルアコースティックバンド「カブレルズ」のプチツアー『別冊・おとといミーティング ~カブレルズ登場!~』東京公演に行ってきました。
詳細なライブレポートは後々書くとして(相変わらず約束ができないですが^^;)、全体的な感想やファーストインプレッションなどを記憶が新しく熱いうちに打っておきたいと思います。
「微妙」なアコースティックバンド
最近はどちらかというと否定的な意味で「微妙」という言葉を使うことが多いですが、そもそも辞書の一番最初には、「趣深く、言葉にできない美しさや味わい」といった意味があります。
バランバランな個性の強い4人それぞれが、それぞれのキャラを殺すことなく、同じステージでエンタテインメントを作るとどうなるのか、まさにその答えの一つを今日見せていただきました。
「とっても楽しかった!」簡単な言葉なのですが、ライブを観終わった感想を一言で書けと言われたら、こうとしか書けなくて。いちいち音楽的に(いや、それ以外的にもあったけど)、とにかく笑わせ続けていただきました。
でも、その中身を反芻したり、凝視したり、凝聴(そんなことばないか)したりすればするほど、すごいことやってるな~って思います。
限られた時間で、それぞれの得意技と未知数の可能性をかき混ぜて観客から得られるであろう反応を予測し、完成系を思い描きながらそこに向かって練習するのです。それも、KANさんという、エンタテインメントへの妥協を許さないアーティストと一緒に作り上げていくわけですから、その苦労と苦悩は計り知れません。心から尊敬しています。
演奏曲目のバランス
演奏曲目をざっくりと書くと、以下の通りでした。
演奏曲目
( )内はメインボーカル、[ ]内はオリジナル 01. 所在ない(ジョン・B)[ジョン・B&ザ・ドーナッツ!] 02. はなれられない(菅原龍平)[Milco] 03. ひまわり(ヨースケ@HOME)[ヨースケ@HOME] 04. いつもまじめに君のこと(KAN)[KAN] 05. カントリー坊や(菅原龍平)[Milco] 06. むぎゅ<表記不明>(歌い分け)[Cabrells] 07. コタツ<表記不明>(ヨースケ@HOME)[Cabrells] 08. よければ一緒に(KAN)[KAN] 09. 田舎ガール(菅原龍平)[菅原龍平] 10. シャララ(ジョン・B)[ジョン・B&ザ・ドーナッツ!] 11. パラパラ(ジョン・B)[ジョン・B&ザ・ドーナッツ!] <パラパラ試写会> P1. ヨースケ@HOME作「しっぽ」 P2. KAN作「クロスプレイ」 P3. 菅原龍平作「流れ星」 P4. ジョン・B作「クローバーの法則」 12. Ave Maria(ギター四重奏)[シューベルト] 13. それでもボクは生きていく(ヨースケ@HOME)[ヨースケ@HOME] 14. 愛は勝つ(KAN)[KAN] 15. スマイル(ジョン・B)[ジョン・B&ザ・ドーナッツ!(feat. トータス松本)] 16. パノラマ(ヨースケ@HOME)[ヨースケ@HOME] 17. 東京に来い(KAN)[KAN] 18. 夜間飛行(菅原龍平)[菅原龍平] <アンコール> E1. 所在ない(ジョン・B)[ジョン・B&ザ・ドーナッツ!] E2. Chu Chu Chu(歌い分け)[Cabrells]
それぞれの持ち歌とオリジナルとが、「塩かぶ」のときと同様にバランスよく数も配置も散りばめられていて、聴いていて飽きの来にくい構成。
じゃあ、たとえばKANさんのファンが「KANさんの曲もっと聞きたかったな~」とか感じるかというと、そういうことは決してなくて。なんていうんでしょう、4人のそれぞれの持ち歌のはずなんですけど、演奏しているのが個性の強い集まりであるCabrellsであることによって、「○○さんの曲」みたいな帰属的な感覚が失われています。
「よければ一緒に」の紹介のときに冗談でKANさんが言っていた「初めて聴くという方はCabrellsのオリジナルだと思って聴いてください」というのもあながち間違ってないんだと思いました。
カブレルズのオリジナルが1曲→3曲に
前回「塩かぶ」のときは「Cabrells」というバンドに昇格が発表されたと同時に「Chu Chu Chu」という初のオリジナル楽曲が演奏されたわけですが、今回、これに加えて2曲、オリジナルが増えました!(ぱちぱちぱち)
06. むぎゅ<表記不明>(歌い分け)[Cabrells]
07. コタツ<表記不明>(ヨースケ@HOME)[Cabrells]
という2曲です。曲はヨースケさんがメインで作り、ジョン・BさんやKANさんの添削が入ったりして出来上がったのだそうですが、これがまた、イイのですよ。
表記はひらがななのかカタカナなのか不明ですけど「むぎゅ」という曲は曲名とは裏腹なカッコいいロカビリー。耳と目を演奏に集中しまくってましたが、KANさんのエレピとジョン・Bさんの動き回るベースライン、イントロ・間奏~Aメロで魅せる菅原さんのギターのキレの良いカッティング。
たまらなかったなあ。カッコいい。エンディング部分ではコントが入るんですが(詳細はライブレポートに書く予定)、もしこれをレコーディングしたら、どの終わり方にするのかなあ。
「コタツ」はそもそもジョン・Bさんがヨースケさんの「トコナッツ」のノリが苦手だから、ということで全く真逆のインドアな楽曲を作ろうということから始まったのだそうですが、とてもヨースケさんらしいカントリー調の楽曲に仕上がっていました。歌詞のストーリーはコタツを取り巻く大変かわいい系の作品です。大変かわいいんですが、聴いている僕自身が楽器の演奏やアレンジばっかりに集中していたタイミングがあり、歌詞をちゃんと最後まで聴き続けていられなかったのが惜しかった。
というわけで、両方とも、レコーディングして音源化して欲しいわけです(笑)。切にお願いしたいっ!!
新しい試みもあり、塩かぶの再現もあり
今回の目玉のコーナーとして、ジョン・Bさんの「パラパラ」という楽曲がパラパラ漫画のことを歌っていることからメンバー各々が作ったパラパラ漫画をスクリーンで全員で試写会する、という字面だけ見たら音楽ライブとしてどういうことやねん!というツッコミが必至な企画があったのですが、30コマという限定された世界で描かなければならないというのに、シュールで見た後でじわじわくる作品から、ほのぼのとした作品まで、バリエーション豊かでした。その作品群は、カブレルズのCD「Chu Chu Chu」にも収められているので、当日上映されなかった作品も含めて、確認してみましょう♪
KANさん作の「クロスプレイ」の最後に審判とランナーとキャッチャーとコーチの4人が
とあるポーズをキメているのですが、ジョン・Bさんの「パラパラ」の一節がジングル化されたものをバックにこのポーズをモチーフとしたキメポーズをジョン・Bさん以外がしつこくやってたり、最後にはジョン・Bさんも参加して4人でキメてたり。いちいちカッコいいのとキモかわいいのを押しては返す波のように織り混ぜていました。(これは短い文章では表し切れないので詳しくはライブレポートに書くかも)
あと、全員がメインボーカルを経験していることから、あえて誰も歌わずにギターだけで演奏しきろうというKANさんの提案から「アヴェマリア」が演奏されました。歌ってないということは楽器演奏でごまかすことはできないわけですから、全員真剣そのもので、こちらもある程度の高い緊張感を持ってややこぶしに汗をかきながら聴いていました。ギター四重奏でこの曲を聴いたことなんてまるでなかったのですが、大変美しいアヴェマリアでした。
おまけに、エンディングでは、全員の学生時代の写真がスクリーンに映し出され、最後に「明日もファイティンです♪ p(^ー^)q」的なメッセージと共に幕を閉じる、という、新しくかわいい(?)終わり方。
逆に、「塩かぶ」のときは採用されていた「アンコール時のイリュージョン」は今回はありませんでしたね。
まさかのオープニング&アンコールで「所在ない」2回演奏にも驚きましたね。しかも、両方とも、ローズエレピの音色でKANさんが1フレーズ弾いたあと、ジョン・Bさんが登場して、客席に降りてバラを渡すお客さんも、ヨースケさんが曲の途中でこれも客席から登場して、座る客席も、なにもかもが全く同じことを2回する、という形ですから。度胸がいりますよね、こんなこと(笑)。
すみません、書いてること、時系列バラバラです。詳細は、何度も書いているように、ライブレポートまでお待ちください。
一方で、カブレルズを「塩かぶ」で見られた人は、そんなに多くなくて、音霊に来ていた人数程度だったはずですので、「塩かぶ」で行われた曲の流れや演出や音楽ギャグも、見たことがない人の方が多いわけです。それを考慮してから、それらを再現されていた、というのも、あれをもう一度見たいと思っていただけに、嬉しかったです。
たとえばヨースケさんの「それでもボクは生きていく」→KANさんの「愛は勝つ」の選曲の流れとか、ヨースケさんが「パノラマ」を歌った直後の「東京に来い」のAメロの入りでKANさんの口が高い位置のマイクに届かずに歌えないネタとか、AKB48のセンターポジション総選挙ネタとか(笑)。
KANさんメガネをつけたりはずしたり
印象的だったのは、KANさんの第3眼鏡。(金曜コラムNo.333『3本の眼鏡』参照)
KANさん自身がボーカルをメインで取る楽曲や、ステージ前方に出てくるときは、眼鏡を外していたのですが、そのほかの楽曲や、曲中でも要所要所で、眼鏡を掛けたまま演奏されていました。歌いなれていない、コード進行を体で覚えきれていない楽曲は、今後眼鏡を掛けて演奏されることが多くなったりするのでしょうか。レーシックには興味がない、らしいですし。別にそれが嫌とかダメとかではなくて、単純に印象的&効果的に使われていた、という感想です。
やっぱり「Chu Chu Chu」は名曲だ
「塩かぶ」の時はどうだったのか忘れたのですが、この曲がライブで演奏されるときって、ヨースケさんのカホンもなくて、リズム的楽器を誰も演奏してないんですね。ギターとピアノとベースだけで演奏されるしんみりした蒼い世界。この4人だからこそ歌える歌詞と、心地よいハーモニー。
やっぱり「Chu Chu Chu」は名曲です。息子たっくん(もうすぐ3ちゃい)も、いつの間にか、ハミングで歌えるようになってます。で、最後の「Chu Chu Chu」だけはチューチューチューって歌ってます(笑)。
KANさん的情報もありました
金曜コラムやロックボンソワ等でも告知されていますが、10月7日に、今後の新しい動きについての発表があるそうです。そろそろ、アレかな?楽しみに待っていましょう~。
さいごに
時間がないなりに時間を掛けてここまで作り上げられた曲たちとステージ。それぞれのソロやユニットとしての活動も大変かと思いますが、やっぱりこれ1回で終わらせるのは、非常にもったいないな~と感じました。
決して、焦燥感に追われてキャラを殺して続けてもらうのではなくて、全員がやりたいと思ったときに、気軽にまたやってもらえると嬉しいな、と思います。そう望んでいるファンの方も多いはず!
カブレルズの皆さんと、その周辺の皆さん、そしてナイスセンスなお客さん全員に、感謝の気持ちを抱きながら、帰途に着きました。本当にお疲れ様でした&ありがとうございました!
あ、そうそう、今回は記念に、
「Chu Chu Chu/Cabrells」(10月26日一般発売予定)
「所在ない/ジョン・B&ザ・ドーナッツ!」(ライブ会場限定発売)
「Everyday Songs」(ライブ会場限定発売)
のCDと、「CabrellsオリジナルTシャツ(水色・M)」を購入しました。
というわけで、結局長々となってしまいましたが、これでもライブレポートではなくて、あくまでライブ行ってきました報告です。
さいごのさいごになりましたが、このライブに参加させてくれた上に、会場入口までついてきてくれた妻と息子、この日1日ご一緒させていただいた友人、そしてご挨拶させていただいたり声をかけたりかけられたりさせていただいた皆様、そして、この長文を最後まで読んでいただいた皆様。
本当にありがとうございました。今後とも何卒よろしくおねがいします~
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